心地よい一日  2016/06/19

これからの道路

大した根拠も無く、[近い将来、道路は変わる!]と思っていたけれど、その直感を裏付けるシンポジウムがあった。

PDC(public design consortium)が主催する第三回セミナーで、これからの道路(土木)についての話が聞けて、思いのほか面白かった。

建築出身の僕としては、土木の話を聞くのはとても新鮮で刺激あるものだったが、中でも、土木の建築基準法に当たる、[道路構造令]は、その成立過程と後の展開についてとても興味深く聞いた。

 

以下、その要旨、ちょっと長くなるけど、ゴメンナサイ。

1919年(大正8年)に、[道路構造令]と共に、[街路構造令]が施行される。
二つの法律の棲み分けを簡単に言うと、[道路構造令]は現在の車道を扱い、[街路構造令]は歩道や街路樹などを扱う。

[道路構造令]は主に車の通行を効率的に捌く技術の話であり、機能的な発展を遂げる。他方、[街路構造令]は、街路樹や人を扱うため、アメニティを含めたデザインに向かう。

ところが、1952年、新道路法の施行と共に、[街路構造令]が廃止され[道路構造令]だけが残ってしまう。

当時は、猛烈な勢いで増え始めた「車」の渋滞をどう処理するか?が大問題であり・・・つまり、質より量、効率の時代であり[道路構造令]だけが残った理由である。

戦後、建設省は、ガソリン税と称してお金を集めて、全国にどんどん道路を作り始める。(田中角栄さんの仕事)

ガソリン税は目的税である。つまり車に乗ってる人から税金をもらう訳だから、道路も車中心の整備になる訳だ。

さて時代は下って、2008年、その道路特定財源制度は廃止される。ガソリン税は、道路(主に車道)にのみ使用する必用が無くなって、歩道や街並整備にも回せるようになる。

 

これからは、車は減って行く。かつてのような施策を続けていれば、間違いなく道路局は衰退の一途である。

道路局のお役人さんは自らの生き残りをかけて、車に偏重した道路施策を、歩行者や自転車、高齢者、身障者などに向ける・・・と言うのが、この話の要旨である。

[お役人さんの生き残り]ってのはいつもの事でちょっとアレだけど、でも結果的に道路施策は良い方向に向かうだろう。

大きく舵を切る時代は、建築だけでなく、道路(土木)でも確認で来たのが収穫だった。

左手右手

 

画:hiromichi yasuda

 

 

 

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