妻は手に職がある。
ガラス工芸。
コップやお皿、たまに金魚鉢を作ったりしているが、十八番は箸置き。
これまで、いくつかの作品は見せてもらったし、伊勢丹でお客様対応している販売風景も見せてもらった。
ただ、ガラスの制作現場を見せてもらったことはなかった。一度も。
見るチャンスがなかった訳ではないけれど、のらりくらりとやんわり断られた。
僕も、見て欲しくないものを無理やり覗き見してしまって、次の日に消えてしまってもなんだかな、と。
鶴の恩返しじゃないけど・・・
ゴールデンウィークのある日、子供を連れて行くことをダシに、初めて見せてもらった。
テキパキと精確に作業するその風景は職人そのものだった。ハタ織りする鶴みたいに。
翌朝、
目が覚めた時、消えてはいなかった。