心地よい一日  2018/01/09

年齢と好み

どうやら、年齢に従って、好みも徐々に変わっていくようだ。
例えば、僕の場合、愛読書の傾向が変わって来た。

小林秀雄さんの本は大学の時から愛読しているのだけれど、「本居宣長」という晩年の大著だけは、読まなかった。読まなかったというより読めなかった。頭の数ページを読んで放り出し、数年たって、また読んでは放り出し・・・それを何度か繰り返して通読する事は決して無かった。
ところが、最近、通読した。しかも、2度、3度と通読を繰り返して、小林さんの本では最も好きな一冊となった。

恐らく、年齢を重ねる事で本の内容が「解る」ようになったのだろう。
でも、それは知識の蓄積の結果解るようになった、という感じでは無い。解る「種類」が変わった。
頭で「解る」のではなく、心身で文字通り「腑に落ちる」という感じ。

ただ、困った事に、この種の「解る」は、若い人には上手く伝える事が出来ないと思う。
恐らく、30年前の自分にも伝えることは出来ないだろう。しかも、30年前の自分は、こういう言い方をする人を軽蔑していた、だろう。


画:hiromichi yasuda

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