村松伸さんと長尾亜子さんが、不定期で開いている
「遠州遺産100PJ」講座にコメンテーターで参加するために、林昌二さんについて、調べることになった。
まずは「林昌二毒本」を購入して、林さんを知ることから始めるが、これが格段と面白かった。
こんなきっかけでもないと、林さんの生涯について正面から調べる事などなかったのだが、”きっかけ” は時に有意義な体験を与えてくれる。
僕と林さんとの接点は23年前に1度だけある。
SDレビューという建築家の登竜門と言われる建築展(コンテスト)に応募した際、林さんはその審査員に名を連ねていた。運良く入選を果たすのだが、審査評ではけちょんけちょんに叩かれた。
そんな、苦い体験が唯一の接点という、不幸な関係を持つ訳だけれど、今回、林さんの生涯を知ることで、いくつか腑に落ちる点があった。
ご自身の建築観から厳しい批評になったこと、そして常にその厳しさは、自分に課したものだったこと。
23年間の悶々とした思いが晴れたのが、最も大きな収穫だった。