引き算のリノベーション

1970年代、80年代に数多く建設されたRCの集合住宅は、そろそろリノベーションの時期を迎えています。その改修方法は、設備機器と内装素材の更新に留めるか、スケルトンからやり直すか等、大きく分けて二つあります。 ここでは、そのどちらの手法もとらず、新たな方法での改修を試みています。


『多摩ショッピングコーポ』は、築40年の共同住宅で、今回は302号室・303号室の改修工事をしました。
この改修の特徴は、柱等古い材料を再使用するなど既存素材を丁寧に取外し、部分的に新しい素材を重ねました。従来の空間構成を引き継ぎ、断片のように材が鏤められています。


こちらは302号室ですが、改装前は和室が3室(6畳+6畳)の続き間と4畳の個室でしたが、現代の間取りとするために建具や壁を取り払って大きなリビングルーム+個室としました。

改修前

改修後
古材を残す事で、新築には無い味わいを感じる事が出来ます。使用感のある、どこか懐かしい、親しみのあるスペースになりました。
また、新たな建具は、古材の色に合わせて焦げ茶色として、白く塗った壁と対比させています。
天井が貼られていた部分は、取り除き、躯体(コンクリート)を現しとしています。これにより、天井高さが高くなると同時に、インテリアにコンクリートの素材感が加わり特徴的な表情となっています。天井部分に露出していた配線類は、ケーブルラックに集め、金属質のモダンな表現としました。

壁や建具を取り払ったことで広くなったリビングルームは、窓からの採光を十分に受け、明るい空間となりました。個室とは引戸で仕切ることで、開放すればさらに大きな空間となります。またTVなどを設置する正面の壁を黄色く塗り、空間にアクセントをつけています。

最後に、玄関を入った部分のメッシュのフェンスについての説明です。ここには絵を掛けたり、スリッパを掛けたり、またキッチン側からも調理器具を掛けるなど、多様に使うことが可能です。実は、これ植栽フェンスとして使う商品ですが、ここに転用して使っています。

いかがでしたか?
不明点はお気軽にお問合わせください。
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どうぞ、じっくりご検討ください。