静岡の家

使わなくなった鶏小屋を活かして

これは、慣れ親しんだ僕の実家での増改築計画です。

施主である父から、母屋を建て替えたいと話がありました。

元々田舎町の農家なので、敷地は広く、
母屋、車庫(農作業小屋)、離れ(2棟)
の計4棟の建物がありました。

ただ、実はそれだけではなく、鶏小屋が、2棟、(200m2程度)あって、
今、鶏はいませんが、子供の頃は鶏と一緒に生活していました。
ずいぶん特殊な環境で暮らしていましたが、当時はそれが当たり前だと思っていました。

希望は母屋だけ建替えたいと言う話でしたが、もう少し計画を広げて、他の建物も一緒に改修したらどうか?と提案しました。
施主(父)は、最初はあまり実感が無かったようですが、鶏の居なくなった鶏小屋もなんとかしなければと思っていたようで、その提案は受け入れられました。

合理的な田の字プラン

母屋は、昔ながらの田の字プランを取り入れた設計にしました。
畳の続き間の周囲を廊下で囲んだ、昔の農家に近い間取りです。
伝統的な間取りですが、実は現代に照らしても、[合理的]といえます。

例えば、温熱環境。家族が集まる茶の間と廊下の間は建具(障子)で仕切られています。更に廊下と外部はサッシで仕切られています。つまり、茶の間が入れ子構造になっているので二重に囲まれていて、冬期は暖かく暖房は非常に効率的です。また、夏期は、建具を開放すれば、風通しがとても良い。(実際、夏期に一度もエアコンを使用していないそうです。勿論[我慢]している訳ではありません) 条件が整っていたとは言え、昔ながらの間取りは、エコな生活に適しているようですね。

牧野家の図
山梨県の牧野家住宅平面図[日本の民家]より抜粋

楽しい回遊性のある空間に

改修した鶏小屋は、母屋と繋げて、浴室、車庫、作業場などを入れこみ一体として使う事を考えました。

 

母屋の廊下から鶏小屋の廊下をグルリと回遊出来るのですが、その廻りに車庫や浴室、作業場、茶の間、台所などがぶら下がっているような間取りとなりました。廊下がそれぞれの機能を繋げています。

僕の記憶では、農家のお屋敷は、遊び場と仕事場と生活が一体となった、今で言うと職住一体のSOHO+遊び場、のような場所でした。例えば、仕事で使わない作業場は「かくれんぼ」に使ったり、 何に使うか不明な裏庭は、祭事の時には必用だったり、と。

鶏小屋を改修して母屋と繋げる事で、お屋敷全体が、昔ながらの使い方を記憶に留めた、楽しい回遊性のある空間となりました。

僕にとっては、この住宅は独立後初めての設計であり、とても思い出深いものであります。 と同時に、この仕事は今後も続いて、屋敷内に残る他2棟も徐々に改修していく予定です。

 

いかがでしたか?
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どうぞ、じっくりご検討ください。

静岡の家
静岡の家
静岡の家
静岡の家
静岡の家
ズバリ! 3方が住宅に囲まれた狭小敷地を!
   
場  所 神奈川県横浜市
構  造 鉄骨造3階
規  模 建築面積 39.90㎡
延床面積 114.68㎡
家  族 2人
敷地面積 68.65㎡