ビー玉が転がる家
「両親の家を建替えたいんだけどね、やってくれる?ローコストで・・・・設計も(笑)」
以前、一度一緒にお仕事をした方のこの一言から、プロジェクトは始まりました。
最後の一言「設計も」と、サラッと屈託の無い笑顔で言われて・・・・
ご両親の家をわざわざ頼んでくれたこともあって、ここは頑張っちゃおうと、お引き受けしました。
早速、今ある住宅を見に、現地に伺いました。
山の麓に、擁壁がありその上に、2階建ての建物がありました。
築、30年程だそうですが、一部地盤沈下して、床が傾いていました。
「ビー玉が転がるって話があるけど、まさにそうなのよ・・・」と奥さん。
まず、その究明から始めることにしました。
土地を観察すると、山側(奥)の土を切り出し、平地側(擁壁側)に土を盛った痕がある。いわゆる切土・盛土。
[切り盛り]するとは、例えば一般的な話だと、しっかり者が少ないお金を工面する時に使うようですが、土地の[切り盛り]はあまり良い話ではありません。例えば、切り土は地面が固いけれど、盛り土は地面が柔らかいから、そこを跨いで家を建てると不同沈下しやすいからです。
「平屋」と「切土への移動」で解決
設計はこの問題を解決する事から始まりました。
まず住宅の大きさは、今は二人暮らしだから既存宅程大きくする必用はないとのこと。 そこで、2階を無しにして建物を軽くするのが良いだろう、と平屋建てを提案しました。平屋だと、地盤への負担が減るから不動沈下も軽減するし、ご高齢の2人にとって階段を使わない生活は楽にはるはずです。
もう一つは、盛土と思われる場所を外して、建物を切土の上だけに配置しました。 地盤改良をして建てる方法も有りますが、今回はローコストも意識しないといけないので、その方法を選択しませんでした。ちょっと建物を奥に移動するだけなら、費用は同じだからです。 以上2点で、不動沈下とローコストの問題を同時に解決した訳です。
インテリアは、出来るだけ広く見える工夫をしました。
例えば、大屋根に囲まれたリビングダイニングはワンルームですが、引戸を開けたら寝室も、連続した部屋になります。
クーラーのいらない生活に
それと、風の流れも配慮し、山から吹下ろす涼しい風を取り入れて、そのまま抜けるように窓を配置しました。
1年目の点検に訪れた時には、お施主さんが今までクーラーを使ったのは1度だけだったとか。 こんなに涼しく過ごせるとは、とお施主さんも感心していました。 こちらは、思惑通り、シメシメと、どや顔で応えたりして。
(いや・・そんなエラソーにはしてなくて、ちょっと驚いたのがホントのところです(笑)・・)
いかがでしたか?
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どうぞ、じっくりご検討ください。