先日、横浜国立大学建築学科の学生の、2年から4年までのバーティカルレビュー(*1)があったので、参加した。
横浜国立大学建築学科の設計教育は、建築界ではそこそこ有名で、建築都市スクール(Y-GSA)の教授陣は、西沢立衛氏、乾久美子氏、藤原徹平氏、大西麻貴氏の4名が務めている。かつては、山本理顕氏や妹島和世氏なども教鞭をとっていたことを考えると、プリッツカー賞(*2)を受賞した建築家が、3名も教えていることになる。
そんな大学の教育は、外から見ていると、格調高く、教授陣には権威があり、学生たちの意識は高く、最高の環境が整っている、というイメージになる。
ただ、参加してみて感じたのは、教授も助手もTAも学生もフラットに議論をしていて恐ろしく風通しが良かったこと。バーティカルレビューの会場構成、司会進行は、学生の3年生が担当し運営していた。
形式は、ポスターセッションにトークセッションを交えたような感じで、20程の設計案が広い会場にランダムに配置されて、聴衆(教員)は2グループに分かれて巡回して案の内容を聞く、というスタイルだった。
シンポジウムが学生が発表し教授の批評を伺う、という形式なら、こちらは発表者も聴衆も同じレベルで発言し意見を交わすようなスタイルで、よりフラットな関係に近い。
もちろん、だからと言って、議論が拡散してしまうわけではなく、案の良いところイマイチなところが的確に指摘され、学生にも巡回するグループにも共有されていった。
会場に居ないと言葉では上手く伝わらないもどかしさはあるが、今まで参加したデザインレビューでは経験したことのない素晴らしいレビューだったと思う。
以前Y-GSAで教鞭を取っていた妹島和世さんは、「公園のような建築」を提唱していた。(今もしている)
個々の居場所が生まれては消えて、境界が曖昧で、多様性を内包する寛容な公園のような建築のことを言っているが、そんなイメージが思い浮かぶ。
自由で、平等で、一人一人が自立して存在できる、風通しの良い教育空間、
既存のデザインレビューの枠を超えた、豊かで濃密な批評の時間が流れていた。
*1 バーティカルレビュー(Vertical Review)
建築デザイン学科などで学年を横断(1年次〜修士)して設計課題の優秀作品を集め、合同で講評・議論するイベント。教員や実務家のゲストクリティークを招き、多様な視点から建築作品の設計や将来について議論する場 。
*2 プリッツカー賞
存命の建築家に対して授与される世界で最も権威ある賞の一つで、「建築界のノーベル賞」とも称されている。
