先日、打ち合わせの帰りに、浅川テラスハウスが見たくなり、足を運んだ。浅川テラスハウスは、1964年竣工の集合住宅である。
設計:菊竹清訓
構造:松井源吾
初めて見たのは、1990年代。
当時、妹島和世さん設計の岐阜県営北方住宅が進行中で、その構造が『ボイドスラブ』(柱・梁を見せない)で、スレンダーな建物だった。
構造設計者は同じ松井源吾さん。
浅川テラスハウスが最初のボイドスラブ建築と聞き、いそいそと見に行ったことを覚えている。
今回、30年ぶりに訪れたが、半ば廃墟のような佇まいだった。
(実際は、数軒は住まわれているようだったが)
外観の老朽化は免れないが、ただ、建物の構想、骨格は力強いものがあり、当初の設計意思は、充分読み取ることができる。
ボイドスラブによるラーメン構造は、下駄の側断面ような構造だが、そのおかげで柱・梁が消え、南北の開口部を最大限とることができる。床から天井まで、梁や壁なしでサッシが取り付いているから、とても開放的で透明な空間になる。
最近、100年立ち続ける建築を本気で考えているのだけれど、
そのためには、何が必要か? を思案している。
浅川テラスハウスは、設計構想とその明快さが建物の老朽化とは関係なく継続することを教えてくれた。
*最後のモノクロ写真は、竣工時に村井修さんが撮影したもの。
夕方、空と室内照明の照度が一致した瞬間を狙って撮影しているので、この建物のコンセプト(開放性・透明性)が見事に表現されている。
写真:hiromichi yasuda
写真:hiromichi yasuda
写真:hiromichi yasuda
写真:hiromichi yasuda
写真:村井修
私は数年前に訪れましたが、もっと良い状態でした。
私企業のものであり保存の話しも聞いた事が無いので、存続が危ぶまれますね。
そうですね。このままだと、消えゆく建築の一つになりそうでした。