更新情報  2021/11/08

落日荘(岩崎邸)

石岡市八里の山の中腹にそれはあった。

先日、落日荘(岩崎邸)を拝見した。
もう、驚きの連続で、感心するやら放心するやら、
凄い物を見せてもらった。

建物の配置から、既に物語が始まっていた。

門を入ると、西に広がる景色が素晴らしい。
その景色を獲得するために建物配置は、東側の門の正面、中央に中庭をとって、東西の軸線としている。
視線の先には足尾山、秋分には軸線の先、足尾山山頂に日が沈むので、落日荘と名付けたのだろう。

この家を「造った」のは、岩崎駿介さんと、奥さんの美佐子さんのお二人。
「造った」とは、まさに字義通り、設計から施工までお二人で造った。
設計施工のセルフビルド。

岩崎さんは、今から約20年前に、土地を購入し、約8年かけて、母屋を竣工した。(現在も敷地内では、離れなど、未だ建設中である。)
当時、岩崎駿介さんは、64歳、美佐子さんは、57歳というから、なんとも無謀というか、凄いことを始めたものだと思う。

お話を伺うと、岩崎さんは、元々東京芸大のご出身で、横浜市では都市デザインを、その後は国連職員として発展途上国に赴任して貧困問題に尽力したり、筑波大学で教鞭を取られたり、と、いろいろな経歴をお持ちだが、建築設計は今回で3棟目だそうだ。

わずか3棟とは、こう言ってはなんだが通常このような経歴の方は、建築設計は「余技」に属する。
が、トンデモナイ。

正直言って、構造、設備計画、設計の納まり、施工、全てが一級である。
(実際作るのも自分だから、納まっていないものは造れないわけだが)
話を伺うと、当初の設計通りの施工で、現場での変更は少なかったそうだ。
とすると、空間把握の能力は秀でていて、トレーニングを積んだ設計士を軽く抜いている。

そして、思想がある。
「環境」と一言で言ってしまえばそれまでだけど、自分たちにとって心地よい「環境」、自然の地形・環境に逆らわない建築、そして地球環境に負荷を掛けない建て方、それらを熟慮した上で造られていた。

最後に、これは最も心動かされたことだけれど、
建設する意志というか、最後までやり切ろうとする精神というか、
人間の底の深さ、可能性の素晴らしさを、お二人に教わった気がした。
岩崎さん夫妻には、本当に本当に、頭が下がる想いである。

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