以前から読みたかった作品で、伊藤ていじさんの「重源」という本がある。
重源とは、平安時代末期に焼失した東大寺を再建した人である。東大寺大仏殿は、3度建立されていて、重源が再建したのは2度目の大仏殿。それは現在の大仏殿よりも一回り大きかったと言われていて、例えば、柱一つとっても直径は1.5m程、高さは30m強、全て真物だったとか。
この本は、お化けのような建物をどのようにして建立したのか、その物語が小説仕立てで書かれている。
経験を積むと、未だ経験した事のない新しい事を試みるのに、怖さ・プレッシャーで押しつぶされそうになる時がある。見通しが効くものには必要以上に強気になり、見通しの効かないものには必要以上に弱気になる、要は保守的になる。仕事の規模が大きくなり関係者も増えて行けばなおのこと、僕も、そんな年齢に差し掛かっている。
重源は、東大寺再建を、61歳から始めている。
建立の為の資金と人を集め、資材を調達し、技術的な構法を考え、金も出さない当時の政府からは完成の期日だけは要求される。
そんな責任を独りで背負って、仕事が始まった。
400pを超える大著、伊藤ていじさんは、この本を書き終えたのは72歳だった。
この2人のモチベーションが知りたくて、僕は「重源」を読み始めた。
