建築まめちしき  2018/04/19

中庭の話

以前の事務所は川に面していたので、涼しい風が抜けた。川面の窓と反対側の窓を開けると、川から入った涼しい風が、反対の窓から抜けて行く。
川面の周りは、他と比べて1〜2℃気温が低いから起こる現象である。

ところで、京都の町屋は中庭が二つあるものが多い。
一つではなく、二つなのは何故か?
実は、そこには生活の知恵がある。

住人は、二つの庭の一つに打水をするのだそうだ。
すると、その庭の温度が下がる→打水をしない庭との間に温度差が生まれる→建具を開けると打水をした庭から、打水をしない庭に空気が流れる。
つまり自然の風を作る、という訳だ。
ちなみに、軒先に風鈴をかけるのは、その風を拾って音を奏でるためである。

クーラーや扇風機すら無かった時代の、夏を過す知恵、である。

画:hiromichi yasuda

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