風と光のトイレ

パッシブ換気で気持ちよい空間に

これは、NEU総合計画事務所の黒田和司さんと協働で設計したトイレです。

共同設計による建築作品はそれ程多くはありませんが、このトイレは初期のコンセプトの段階から設計に参加しました。

ところで、このトイレでは「換気」について考えました。換気はとても重要で、ニオイを含めて換気が上手くいっているトイレは衛生的で快適です。しかも、ここでは「電気等の動力を一切使わない」換気を考えました。

建築設備では、大きく分けて(パッシブ)と(アクティブ)という考え方があります。
(パッシブ)とは、受動的な・受身の という意味ですが、建築設備の場合、自然エネルギーなどにより、機械等の動力を使わずに、換気することです。

例えば、外の風を利用したり、室内の温度差による重力換気をしたりと、電気等のエネルギーに頼らず自然エネルギーを利用した換気システムです。簡単に言うと、開閉窓のつける位置をちょっと工夫して、効率よく換気する事です。

他方、(アクティブ)は、能動的な・積極的 という意味ですが、建築設備の場合、換気扇などの動力機械を使って換気することです。こちらは、電気などのエネルギーが必要になります。部屋がどこあっても、換気扇を付けさえすれば、強制的に換気が出来る訳です。

機械換気は近代以降、世界中で使われるようになりましたが、それ以前には、自然換気でずっとやっていました。

このトイレでは、あえて、電気を使わず、自然の力だけで換気する事を考えました。
例えば、このトイレは、やや背を高くしています。そして、上部と、下部にそれぞれ換気口を設けています。また、屋根は庇を長く出す事で、外に雨掛かりのない場所を作っています。

これは、自然換気をする上で、とても重要な事です。

図1にあるように、背を高くして、上下に換気口を設けると、温度差から重力換気が起こります。下の換気口から新鮮な空気が入っている訳です。

図1

また図2のように、庇を大きくする事で、外気がたとえ微風であっても、集風の役割を果たしてトイレ内に風を送り込みます。

図2

このようにして、トイレ内は、いつも新鮮な空気が入って来るので、ニオイも無く、乾燥しています。

周辺はシロツメクサが開花して気持ちの良いトイレになり、平成25年度神奈川建築コンクールでアピール賞(環境)をいただきました。

 

いかがでしたか?
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どうぞ、じっくりご検討ください。

風と光のトイレ
風と光のトイレ
風と光のトイレ
風と光のトイレ
風と光のトイレ
ズバリ! パッシブ換気で気持ちよい空間に
   
共同設計者 NEU総合計画事務所:黒田和司
場  所 横浜市
構  造 RC造
規  模 35.84㎡