松ヶ丘の家

木をふんだんに使った家

ドトールコーヒーで、お施主さんと木の話になりました。

「木材の感じがいいですよね。肌触りというか・・・今はマンションですけど、戸建にするなら、木がいいな・・・そんな感じになりませんか?」

それまで、何度かお施主さんのご自宅(マンション)に訪れたことがあるので、何となくモダンな白い感じの家が好みだろうなと思っていた僕は、意外と思うと同時に・・・意気投合してしまいました。 今回、外観、内観、木をふんだんに使った住宅になったのは、打合せでのこの一言が始まりでした。

三角形の敷地に苦戦

幾つか敷地を探すうちに、お施主さんが一つ良い土地を見つけてきました。
場所は、横浜から歩ける距離で、幹線道路からちょっと離れた閑静な住宅地。ちょっと額に汗が出るくらいの上り坂がある小高い丘の上にあります。

子育て(車が少なくて緑も適度にあって、安全そうな町)と、通勤(横浜駅から歩ける距離)が両立する所はなかなか少ない・・・けれど、お施主さんは見事にそんな場所を見つけて来ました。
敷地は3角形に変形しているけれど、奥に向かって広がっていて庭も少しとれそうだ。 ここで問題ないでしょうと伝えて、その土地に家を建てることが決りました。

さて、いよいよ設計が始まるわけですが、3角形の形が、意外と厄介でした。
「大丈夫」と言った手前、そんな事は一言も言えず、あれこれプランを考えます。
なかなか上手く纏まらないでウンウン唸っているとき、ふと、四角形を一部欠取ったような平面はどうだろう?と思いつきました。さらに、欠取った面から光と風を取り入れたらイイんじゃネ!
三角形の敷地にピッタリのプランとなり、その後は、一気に設計が進んでいきました。

木を使った内装での照明の問題

今回、内装では木を使っているので、黄土色から茶色のアースカラーになるわけですが、少し暗く感じるとのことでした。ここでも一工夫必用になった訳です。
照明デザイナーに相談したところ、建具を明るい色(例えば白)にして、そこに間接照明で光を当てれば、人は明るさを感じるのだそうです。というわけで、障子(白)を使い、そこにウォールウォッシャーで光を当てる事に。
結果は、僕もお施主さんも満足いくものになりました。

後日談 ホタル族のご主人に……

建物が完成して3年後、御施主さんから久しぶりに横浜駅近くのドトールコーヒーに呼び出されました。 話を聞くと、家の中での唯一の喫煙スペースであるテラスをもうちょっと充実させたい、とのご要望。 家族の中で唯一の喫煙者であるお施主さんはホタル族だったのでした。

どうしようか?と話合った末、隣との境にフェンスを付けてやや目隠しをし、テラス上部にはオーニングを付けて雨や日差しを遮るのが良いだろう、となりました。

建物が徐々に変化していくなかで、御施主さんと共のその変化を見届けるのは、楽しいものです。

こぼれ話 木挽き職人さんに話を聴く

木材の見識を深めるため、ジャパンホームショーでは、木挽き職人の林以一さんにインタビューを行いました。

木挽きとは、ノコギリで大木を縦に挽いて、板材、柱材などの建材を製材する事です。 電動ノコギリが無かった時代には、大鋸(おおが)を使って、2人一組で、木材を挽いていました。

林さんは、最後の江戸木挽き職人と言われています。 ただ単に、木材を切るだけでなく、年輪、木の癖を読み取り、どのように木を分割するのが効率的かを見定めるのも、職人の仕事でした。


ジャパンホームショー秋田県会場展示にて(東京ビッグサイト)
木挽き職人 林以一さん、秋田県立大学木材高度加工研究所 藤江亜衣子さん、私

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どうぞ、じっくりご検討ください。

松ヶ丘の家
松ヶ丘の家
松ヶ丘の家
松ヶ丘の家
松ヶ丘の家
ズバリ! 木をふんだんに使った家
   
場  所 神奈川県横浜市
構  造 木造2階
規  模 建築面積 53.25㎡
延床面積 104.64㎡
家  族 4人
敷地面積 113.77㎡
PHOTO: jin hossoya