難問を「長屋」で解決
お施主さんからの要望は、賃貸住宅を造って欲しい、というものでした。
家賃収入を考えて、出来るだけ効率よく住戸を配置して欲しい(でも建設コストは抑えて欲しい)と。
奥に向かってやや長い敷地だったので、普通の共同住宅にすると、戸数や室面積が効率よく配置出来ません。事業収支も難問でした。
「建設コストを抑えつつ、居住環境を良くして、戸数を確保する」という複雑な方程式を解かなければなりませんでした。
いろいろ検討した結果、中央に通路をとって「長屋」形式にすることで、それら難問を解く事ができました。
配置図
「長屋」も集合して住む居住形式ですが、法律的には、戸建住戸に近く、共同住宅の厳しい法規が免除されます。また、共有する壁をあまり作らず複数の住戸を独立して建てる事で、音の問題などプライバシーも確保され居住性も良くなっています。建設コストは、建物をシンプルな切妻型にして、素材も、汎用性の高い材料として抑えています。
という訳でやっと事業収支が成立。銀行の融資も決まって計画がスタートする事になりました。
プロジェクトの苦と楽
後日談ですが、完成後、お施主さんから、お祝いの慰労会を開くから、と案内を頂いた時の話です。 お施主さん、仕事を仲介してくれた友人、現場監督さん、企画を仕切ってくれた友人、と私達設計チーム。プロジェクトの中心メンバーが集まりました。
現場では、それぞれの立場や思惑の違いから、どうしても対立する場面があります。
今回も例外ではなくて、一触即発の場面が何度かありました。
例えば、工事がかなり遅れた時、お施主さんと僕とで、現場監督さんをファミレスに呼び出して、激しく詰め寄ることがありました。
監督さんは、その時の事を、
「お施主さんと先生に呼び出されて、こっちはドキドキしてファミレスに入ったら、先生、フルーツパフェ頬張ってるんだもの・・・美味しそうに・・・ダメっすよあれ、緊張感ないんだもの・・・」
ユーモラスに語る監督さんに、皆からどっと笑いが。
途中、いろいろありましたが、 こうして、苦楽を共にした仲間達と、思い出話に花を咲かせるのは楽しいものです。
終始明るく接してくださったお施主さんを中心に、素敵なメンバーが集まったので、また同じメンバーで一緒に仕事が出来ればいいな、と思っています。
いかがでしたか?
不明点はお気軽にお問合わせください。
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どうぞ、じっくりご検討ください。