まことくらぶ

「小規模授産施設」へのリノベーション

元々事務室として使っていたスペースを、小規模授産施設にリノベーションしたものです。

小規模授産施設とは聞き慣れない言葉ですが、一般企業などで働くことが困難な、障害のある人が働く場です。更に言うと、障害のある人だけでなく、親、ボランティアをはじめとする関係者の共同の作業場として、地域の中で生まれ運営されている施設です。

構造用合板を壁やドアに

依頼主からの要望は、壁やドアなどは頑丈にして欲しい、というものでした。

どうしてですか?と聞くと、働く人たちがストレス等で壁を蹴ったり叩いたりする事があるらしいのです。

一般的に壁に使われるものに、[プラスターボード]という素材があります。これは、石膏を主成分とした素材を板状にして特殊な板紙で包んだ建材ですが、切ったり張ったりするのに扱い易いので大工さんが好む材料です。

ただ、これは強く叩くと穴があいたり割れたりするので、この改装では不向きな材料だと思いました。もうちょっと頑丈で、しかもどこか親しみのある材料は無いか?と検討しました。

そこで考えた素材が、一般的に下地材として使う構造用合板でした。

樹種は様々ありますが、通常はラーチが多く今回はそれを使っています。

部屋の仕切りや、家具などを統一してこの素材を使いましたが、叩いたりぶつかっても、穴があくような破損はありません。多少凹んだとしても、木が本来持つ弾力性であまり気になりません。 また、家具と界壁を全て同じ素材で仕上げる事で、意匠的に空間の統一感ができました。

普段は、下地に使われる合板ですが、こうしてその木目を積極的に室内の模様として使う事で、インテリアの装飾にもなっています。

家具は、部分的にはキャスターを付けて移動可能としています。

 

家具の位置を変える事で、部屋の間取りを変える事ができます。例えば、作業場として使う時に部屋を部分的に仕切ったり、パーティ等で大きく使い時にはワンルームにしたりなど、使い方に応じて、間取りを変えることが出来ます。

絵を描いてもらい記憶に残る空間に

一つ物足りないものを感じていました。

というのは実際にこの部屋を使う人にとって「記憶に残るような空間になっているだろうか?」と。

たとえば、この施設を使う人自らが参加して、セルフビルドでは有りませんが少しでも空間創造に関われるような仕組みは考えられないだろうか?

そこで、施設長とも相談して、ここで働く人たちに葉の絵を描いてもらい、それをパターンに天井の装飾としました。 施設で働く皆が描いた模様が、空間を彩り記憶に残る空間となりました。

 

いかがでしたか?
不明点はお気軽にお問合わせください。
下記のスライドショーをクリックすると、拡大写真を見ることができます。
どうぞ、じっくりご検討ください。

まことくらぶ
まことくらぶ
まことくらぶ
まことくらぶ
まことくらぶ
ズバリ! 小規模授産施設のリノベーション
   
場  所 東京都立川市
構  造 RC4階建て(1階内部改修)
規  模 改修部分 165.73㎡ 
敷地面積 378.80㎡
PHOTO: jin hosoya